一位

第二十三回(紙・糸)

未完 手紙

「すまないんですけど、その手紙ちょっと見せてもらっても大丈夫です?」  赤緑色の珍妙な色眼鏡を付けた少女にそう声をかけられたのは、いつも通りドクレが郵便局から配達に出たタイミングだった。  「個人情報なものでそれは出来かねます」   今日の...
第二十二回(バクチ)

不思議な2人

俺のモットーは常に冒険をすることだ。安定志向なんてもってのほか。バクチを打ち続けてこそ人生ってもんだ。   「キーンコーンカーンコーン」   「お前、今日ひまかー?」 「わりい、今日行くとこあるわ」 「おっけー、じゃあなー!」 こいつは今年...
第二十二回(バクチ)

闇チンチロ

ウィン ここが闇カジノか〜初めて来たな〜。何があるんやろ     お兄さん、チンチロいかがッスか!今デカいサイコロ入ってますよ!   おっパブのノリのチンチロのキャッチとかいるんだ。まぁやってみようかな。     じゃあ行きますよ〜。よっと...
第二十二回(バクチ)

皆川満点

大学入試共通テストもいよいよ終盤に差し掛かり、最後の関門とも言って差支えのない数学のテストがあと五分もすれば始まるという休み時間。それなのに隣の万年成績ビリケツの皆川は余裕そうに、椅子の上でふんぞり返って天井を一点見つめしていた。「皆川、随...
第二十一回(膝・Love)

ひざまくら部

ひざまくら部。  そこまで、男を魅了する部活があるだろうか?  俺はこの高校にそのひざまくら部があると聞いて、入学を決めた。正直、俺は半信半疑だったから、そのひざまくら部を詳しく調べた。  すると、部員数は10人を超えていて、そのどれもが女...
第二十回(旅行・鞄)

投げ入れ岩

今から話すことは実際に俺の身に起きた体験談だ。内容が内容なので信じて貰えないかもしれないし、俺も当事者じゃなければ信じないだろう。だからこれはあくまでも記録として、ここに記すことにする。長いかもしれないが興味のあるやつは読んでくれ。 俺が大...
第十九回(不在)

ザ・パーフェクト

春樹は欠席の理由に困っていた。 なにせ今日休められれば新作のソシャゲをリリース直後から走り始めることができるのだ。スタミナ制のそのゲームは、とにかく序盤でどれだけ効率よくステージをクリアし、周回のフェーズに入れるかが山であった。だから今日だ...
第十八回(中毒)

電脳ゾンビは人間の夢を見るか?

「ゾンビになりたくはないかい?」  僕はそれを聞いて、口の近くまで運んだウイスキーのグラスを止めた。突拍子の無い言葉を放った彼の表情は真剣だった。 「ゾンビって、あのゾンビですか?  全身が腐って、人を食べて、マイケルジャクソンの後ろで踊っ...
第十七回(塔)

3000年後、通天閣で。

プップー、ブブーー  光がエレベーターに乗ると、耳をつんざく警告音がその階に響き渡る。光はその階全員からの注目を集めた。そして、自分のお腹に目を落とし、腹の肉をつまむ。  ダイエット中の彼にとっては悲しい出来事だ。あなたは重いと全員に周知さ...
第十六回(浴びるほど)

底抜けの壺

「ジャジャーン!」 美月はその口から出す効果音と同時に本を見せた。人が少ない時間の学食とは言え、ジャジャーンと大声を出されると恥ずかしい。 「西野圭子?」「そう、知ってるやろ?  この大学の有名人ゆうたら、真っ先に挙がる大作家やからな。」「...
第十五回(金、回転、アニメ映画)

バイバイ、富永。

2040年、教育上相応しくない内容(過度な性描写や暴力描写、危険思想が含まれる等)が多すぎる、とアニメや漫画などの創作物が非難されていた。 インターネット上で青バッジを付けて偉そうにふんぞり返っている批評家や、30代を超えても独身のオバサン...
第十四回(吐き気)

循環型社会 新京都

退社後、パブリックカーを捕まえてナビゲーションシステムから自分の家を検索する。フロントガラスにルートが表示され、AR標識が現れる。僕は再処理水を飲みながらルートを確認した。 ―新京都 時刻は午後5時47分 本日の道路異常は確認されませんでし...
第十三回(裏切り)

桐生は罪を犯した。

「あらゆる事象において、裏切りは発生する。  その裏切りは、事象の観察者の思い込みから生まれる。たった一部分の切り取られた事実を誤解し、真実とはかけ離れた推論を出す。  そして、その推論が間違っていると気がついた時、人々は裏切られたと言う。...
第十二回(バイクが走り去って、配達物だけが残った)

時をかけるA

バイクが走り去って、配達物だけが残った。遠ざかるバイクの音が街の雑踏に消えた後、配達物を確認すると、そこには一通の封筒と小包が入っていた。だが、不思議なことに、差出人として掛かれている名前にも住所にも見覚えはない。配達先を間違えたのかとも思...
第十一回(桜、ケチャップ、文庫本)

桜爆ぜり

曰く、古物には魂が宿ることがあるという。 年月を経るごとに物には霊性が宿り、やがて自ら変化するだけの力を得て、己を棄てた人間への鬱憤を晴らさんと活動を開始する──というのが「付喪神」という、所謂妖怪変化の類らしいのだけど。それとは別に、わた...