第二十回(旅行・鞄)

パラメシウムラブ

「ゾウリムシは、性別が48個あるんだって!」  霞は月明かりしかない暗闇で、橙色に輝く手持ち花火をくるくると回しながら、そう言った。 「知ってた?   ものしりの天翔でも知らなかったんじゃない?」「知ってるよ!  ……今、噂のやつだろ?」「...
第二十回(旅行・鞄)

さよならボイジャー

僕のおばあちゃんは旅行が好きだ。小学生の頃は、学校を休んで海外旅行によくついていったものだ。おばあちゃんは大きなスーツケースと花柄のボストンバック、そして肩掛けのポシェットを持って家に迎えに来てくれた。 僕は大学3回になった。大学から始めた...
第十九回(不在)

中身不在への愛のような何か

シャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワ  蝉の声だけで脳の一コマが支配されるのでは無いのかとしなくてもいい懸念をしつつ、俺は前を...
第十九回(不在)

ザ・パーフェクト

春樹は欠席の理由に困っていた。 なにせ今日休められれば新作のソシャゲをリリース直後から走り始めることができるのだ。スタミナ制のそのゲームは、とにかく序盤でどれだけ効率よくステージをクリアし、周回のフェーズに入れるかが山であった。だから今日だ...
第十九回(不在)

この中に犯人はいない!

「犯人はこの中にいる!」  そんなミステリーでありふれた言葉が、部屋中に響き渡った。  探偵は准教授、容疑者は僕と美月と教授の3人。部屋の中には人の出れる脱出手段は1つ。窓は壊れて開かず、換気の窓は開いているが、とても手の届くところでは無い...
第十八回(中毒)

ドリアン中毒防止法

中毒と言って多くの人は薬物中毒やアルコール中毒を思い浮かべるでしょうが、本来中毒とは「毒に中る」という意味であってその原因たるものは何も依存性を伴うものに限らず、例えばドリアンなども中毒症状の原因になることはこの国ではまだ広く知られている事...
第十八回(中毒)

毒石

人は花だとか、獣だとか、鏡だとか、考える葦だとか言うらしい。  私に言わせれば人間なんて石っころだ。風に吹かれ、水に流され、時に蹴飛ばされては転がって、転がるうちに角がとれて。そうして円みを帯びていくことを成長だとか円熟だとかいって褒めそや...
第十八回(中毒)

チュー毒

初めてのキスはレモンとイチゴの味がする。こんなことを最初に言い出したのは誰だろう。もしキスがそんな味なら、とレモンとイチゴをまとめて口の中に突っ込んだことがある。結果、右頬は酸っぱさに痺れ、左頬も右で収まらなかった果汁が押し寄せて同様に痺れ...
第十八回(中毒)

激辛教の恐怖

ある日、ある部室に激辛インスタントカレーが持ち込まれた。怖いもの見たさにその時部室にいた5人がウキウキでカレーをほおばった。その直後、あまりの辛さに彼らは悶え苦しんだ。地獄の業火に焼かれているかのような凄まじい痛みと熱さ。たちまち体中から汗...
第十八回(中毒)

medicine

ごみ収集車から降りて、ダストボックスの扉を開ける。ビニール袋に包まれたごみを車の後方へ放り込む。単純な作業だ。そして空いたままのダストボックスの扉の裏側についているUSBポートに入力用USBを差し込む。使い切りタイプの電子麻薬のデータがコピ...
第十八回(中毒)

普通に無理でした

こんばんは、ばったです。 本名、龍獄門 伐汰です。  まずは、小説祭に投稿して頂いている皆さん、小説祭を読んで投票してくれている皆さん、ありがとうございます。皆さんのおかげでこの企画は成り立っています。感謝してもしきれぬ、リトルグリーンメン...
第十八回(中毒)

電脳ゾンビは人間の夢を見るか?

「ゾンビになりたくはないかい?」  僕はそれを聞いて、口の近くまで運んだウイスキーのグラスを止めた。突拍子の無い言葉を放った彼の表情は真剣だった。 「ゾンビって、あのゾンビですか?  全身が腐って、人を食べて、マイケルジャクソンの後ろで踊っ...
第十七回(塔)

相対性(仮)

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第十七回(塔)

その塔は

その塔は自殺の名所らしい。町外れの、数十年前に何かの記念で作られたとかいう塔。今日もそこから誰かが飛び降りる。理由は誰にも分からない。 ◇◇◇ 「あの塔からは電波が垂れ流しにされてるの。だからごめん、私、あなたとは付き合えない」 初恋の人は...
第十七回(塔)

3000年後、通天閣で。

プップー、ブブーー  光がエレベーターに乗ると、耳をつんざく警告音がその階に響き渡る。光はその階全員からの注目を集めた。そして、自分のお腹に目を落とし、腹の肉をつまむ。  ダイエット中の彼にとっては悲しい出来事だ。あなたは重いと全員に周知さ...