第二十七回(落下)

第二十七回(落下)

世界で一番どうでもいい

やっとだ、やっとここまで来た。 重厚なジュラルミンの扉の前に立った男は、震える手で、ポケットの錆びたドッグタグを握りしめた。その震えは散っていった戦友たちへの弔いか、それともこの先で待ち受けるものへの畏れなのか。それは男にも分からなかった。...
第二十七回(落下)

落下夢

夢の話だ。 意識ができた時には自分は落ちていた。どこを落ちているかは分からなかった。空ではなかったと思うし、地中でもなかった気がする。多分、風呂屋の煙突のようなところだったと思う。うん、都合がいいので風呂屋の煙突を落ちていたことにする。着の...
第二十七回(落下)

落としたもの

新たな家具を手に入れたその帰り道、京子は前を歩いていた男が何かを落としたのを見た。京子は自分がどうしようもない人間であることを自覚していた。だがしかし、目の前で何かを落とした人がいれば、それを拾ってあげることぐらいはする善人であろうという気...
第二十七回(落下)

数えきれない妄想の果てに

自分の趣味は飛び降りジサツだ。  いや、正確には、「頭のなかで」「飛び降りジサツを試みる」という表現が正しい。......そんなにシにたいのかって?まさかぁ。 これを読む貴方も、ちょっとでも考えたことくらいあるだろ?自身がシぬときのこと。 ...