第二十五回(魔法・革靴・風)

第二十五回(魔法・革靴・風)

借り入れ

『審査の結果、今回は融資を見送らせて頂くこととなりました。 ご希望にお応えできず誠に申し訳ございません。 尚、融資の可否は、お客様の借入状況や審査基準の見直し等により日々変化───』 うるさいうるさい、黙って5万円ぐらいくれたら良いじゃ無い...
第二十五回(魔法・革靴・風)

人里離れた森深く、誰も足を踏み入れないはずの場所にひっそりと佇んでいた祠はその日、バキバキと音を立てて崩れ落ちた。   風の強い日だった。急速に発達した台風によってもたらされた暴風雨は自動車を転がし、コンクリートを叩き、そして森を轟かせた。...
第二十五回(魔法・革靴・風)

旋風

まだスマートフォンやテレビなんかに人々が支配されていなかった時代。民衆の心を掴んでいたのは、タップダンスバトルだった。  何万人にも及ぶ観客がこの日のためにコロッセオに駆けつけていた。彼らの血走った目の先にいるのは、2名のタップダンサーだ。...
第二十五回(魔法・革靴・風)

お洒落は足元から

冷たい石のロビーで親戚一同が集まって、ただぼそぼそとまるでそれがタブーかのように言葉を交わしていた。一時間ぐらいだと言っていたが、今どれくらいの時間が経ったのか、時計はあるけれど火葬が始まった時間を確認していなかったから、どれほどの時間ここ...
第二十五回(魔法・革靴・風)

風の吹かない国

ターコイズでは15年間風が吹いていない。  正確には60年前から我々の国ターコイズではほとんど風は吹いていない。  60年前の風が吹かなくなる前、ターコイズは呪われていた。ターコイズの国民全員が全身に黒斑が出てしまう呪いにかかってしまったの...
第二十五回(魔法・革靴・風)

ウミガメのスープ2 革靴編 part1

「きょうはちょうしがええき、かつお、こじゃんととれるぜよ!」 漁師の一人がおもむろにそう声をあげた。漁師たちを乗せた漁船は土佐湾の黒潮を航走し、漁船の近くには海鳥の群れが飛んでいた。それはすなわち、ここにカツオの群れがいるということを意味し...
第二十五回(魔法・革靴・風)

ウミガメのスープ2 革靴編 Part2

男は特に困窮していたわけではない。行きつけの店でモーニングを頼むのは常であったし、アンケートを採れば65%ほどの人間が認めるであろう布団で寝ている。しかし、男は革靴が食べたくなってしまった。これは酔った際に出た気の迷いではなく、数週もの間、...