第二十八回(火)

第二十八回(火)

お誕生日おめでとう

ハッピバースデートゥーユ〜と叔母が歌いながら、キッチンの奥からケーキを持ってきた。叔母の手作りだというそれは、普段自分で買うような何分割かされてるものではなく、私が今まで食べてこなかった部分も含めた、ケーキの真実だった。 ケーキの上には2本...
第二十八回(火)

勇者が生まれた日

魔王城、最上階。勇者一行が魔王と相対して半刻、既に戦いは終焉を迎えようとしていた。『火炎の勇者』ライアン、『魔導国の叡傑機構』バイオレット、『爆殺聖女』ミラ、『不侵防域』マーカスの四人は、自らの攻撃を跳ね返され地に伏す魔王を見下ろす。 「炎...
第二十八回(火)

蝋涙

廊下から見えた延焼の様子は並大抵ではなかった。もう既に展示物は悉くお陀仏だろう。「ああ……」狼狽する青年の心情に反して火はひどく玲瓏だった。  ワックス・ネッタドールは若き蝋人形師である。父であるロウ・ネッタドールの跡を継いだばかりの駆け出...