第十二回(バイクが走り去って、配達物だけが残った)

第十二回(バイクが走り去って、配達物だけが残った)

晴る雨

バイクが走り去って、配達物だけが残った。もう何度も利用しているはずなのに未だに慣れない、置き配というものは。通販で何かを購入したことを忘れているという訳では無い。ただ、別のことに気を取られているうちにどうにもすっかり回収するのを忘れてしまう...
第十二回(バイクが走り去って、配達物だけが残った)

時をかけるA

バイクが走り去って、配達物だけが残った。遠ざかるバイクの音が街の雑踏に消えた後、配達物を確認すると、そこには一通の封筒と小包が入っていた。だが、不思議なことに、差出人として掛かれている名前にも住所にも見覚えはない。配達先を間違えたのかとも思...
第十二回(バイクが走り去って、配達物だけが残った)

オタクの仏様(未完)

バイクが走り去って、配達物だけが残った。   陽光溢れる土曜日の朝、リビングで編み物をしていた美代子はのそのそと腰を上げ、玄関まで歩いていく。ポストの中には便箋が一通入っていて、取り出してみれば、大ぶりな筆で丁寧に「遺書」と書かれていた。胸...
第十二回(バイクが走り去って、配達物だけが残った)

面影

バイクだけが走り去って、配達物だけが残った。置き去りにされたいつかの幸せな日々の欠片は、内容量のわりにずっしりと重かった。 アイツとの出会いは忘れもしない七年前、高校3年生の時だった。 「席、1個ずれてるよ」 自分に話しかける人なんていない...
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ぶん殴る!!!!

バイクが走り去って、配達物だけが残った。 起きてすぐの、鬼神のごとくいきり立つ我が髪の毛を見られたくないがために、俺はアパートの冷たいドアに耳をピタリとつけ、荷物を直接渡すのを諦めた配達員が置き配をしてこの場から去るのを待っていた。そのせい...
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ネズミの子離れ

バイクが走り去って、配達物だけが残った。  ただし、その配達に変な所があるとすれば、配達物のような物は、大学キャンパスの人目のつかない芝生に残されているという所だ。 「あれ、バイクの人の忘れ物ちゃうん。」 隣にいる美月がそんなことを言う隙に...
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最後の宅急便

バイクが走り去って、配達物だけが残った。  これが最後の配達になるにも関わらず、彼は最後まで変わらない優しい笑顔だった。  私はよく曲がった腰を伸ばし、なんとなく空を見上げる。  空は暗かった。  ただ夕方であるだけではない。空には配達物を...
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十で神童、十五で天才、四十過ぎれば

バイクが走り去って、配達物だけが残った。 ここ数日、生きているのか死んでいるのか分からないような気持ちで過ごしていた。あまりに現実的すぎる音に、ようやく我に返る。  十で神童 十五で天才 二十過ぎればただの人。今まで散々言われてきたことで―...
第十二回(バイクが走り去って、配達物だけが残った)

人間失格

バイクが走り去って、配達物だけが残った。 中には何が入っているか見当もつかなかった。 ダンボールの箱を不器用にもカッターで切り刻みながらなんとか開けることができた。些細なことにも手間取る自分にいちいち腹が立つ。中には細かく仕切りがされており...
第十二回(バイクが走り去って、配達物だけが残った)

Re:birthday

バイクが走り去って、郵便物だけが残った。  トルクの音がいやに早く遠ざかるのは、コンクリートの群れが音を吸うからだろうか。人の寝入ったあとの街は、とたんに自分たちのものではなくなったような気配がする。なんとなく、ひとりであることを突きつけて...
第十二回(バイクが走り去って、配達物だけが残った)

冬の残り香

バイクが走り去って、配達物だけが残った。 ダンボール箱に入ったそれは 持ち上げると拍子抜けする程軽くて 後ろに転びそうになった 丁寧にガムテープを切ると shiroのホワイトリリーが弾けた ああ匂いは忘れないものだね 中には丁寧に畳まれたダ...