7月26日 金曜日 天気 晴れ
今日から夏休みが始まった。今日は一日家で宿題をしていた。分からないところがあったので、夏休みの間に出来るようにしたい。
7月27日 土曜日 天気 晴れ
今日は友達と夏祭りに行った。花火も屋台も最高でとても楽しかった。また来年も行きたい。
7月28日 日曜日 天気 晴れ
今日は友達と遊んだ。プールに行ったりイオンに行ったりいろんなところに行った。とても楽しかった。
そこから数日は、テレビや宿題の話など当たり障りのないことが書き連ねられていた。今俺はこの日記の持ち主、阿部の部屋でこれを一人読んでいる。静かな部屋には外で鳴くセミの声だけが大きく響き、ここがエアコンの効いた室内だというのも忘れてしまいそうだ。背中をツーと嫌な汗が伝う。とにかく読み進めてみよう。
8月5日 月曜日 天気 晴れ
明後日から田舎のおじいちゃんとおばあちゃんに会いに○○県に行く。母親は旅行も兼ねてとか言ってましたが、どうせならもっとユニバとかに行きたかった。
8月6日 火曜日 天気 晴れ
明日からついに○○県に行く。おじいちゃんおばあちゃんと最後に会ったのは小4の時だから、行くのはだいたい4年ぶりぐらいになる。残りの夏休みはほとんどあっちで過ごすけど、ちょっとだけ楽しみ。
8月7日 水曜日 天気 晴れ
今日は田舎のおじいちゃんとおばあちゃんの家に行った。家から5~6時間かかって大変だったけど、久しぶりに会った2人は元気そうだったので良かった。
田舎のおじいちゃんおばあちゃんの家か……。確かにそんなこと言ってた気がするな。そこから数日間は都会の乾いた生活とは打って変わって、田舎でのスローライフを満喫している様子がしたためられていた……ということも無く、相変わらず甲子園や家でのご飯のことなどが書かれていた。まああいつらしいと言えばあいつらしいのかもしれない。ただ8月11日を境に、日記の内容は少し変化した。
8月11日 日曜日 天気 晴れ
今日は夜中に虫取り用のしかけを置きに行った。おじいちゃんによると神社の近くの森ではデカいカブトムシが取れるらしい。だいぶ眠いけど明日の朝が楽しみ。
8月12日 月曜日 天気 晴れ
今日は虫取りに行った。おじいちゃんの言う通り、大きいカブトムシが取れたので良かった。帰り道に近所の子どもに会って少しだけ一緒に遊んだ。ゆうた君というらしい。なんとなく流れで明日も遊ぶ約束をしてしまった。
8月13日 火曜日 天気 晴れ
今日はゆうたくんと遊んだ。森の中にある神社の子供らしい。虫がよくいる場所やいい感じの川など色んな場所を教えてもらった。そういえばあの神社は蛇代神社というらしい。蛇を祭ってるなんて珍しいなと思った。
8月14日 水曜日 天気 くもり
今日もゆうたくんと遊んだ。小学生の体力はすごいなと思った。お兄ちゃんと呼ばれるのは少し恥ずかしいが、なついてくれるのは正直うれしいと思った。今度宝物をみせてくれるらしい。
8月11日、この日を境にゆうたくんという地元の少年との事が書かれるようになった。中2にもなって小学生と遊ぶとは、少し子供っぽいところがあるとはいえこれは少し意外だった。そもそもあいつ夜中に森に行くほど虫取りとか好きだっけ?少し違和感を覚えつつも、ページを捲っていく。
8月15日 木曜日 天気 くもり
ゆうたくんのいう宝物とは小さなカバンのことだった。この中身は誰にも見せたことが無いらしい。別れ際に見せてあげようかと聞かれたが、どうせどんぐりとかだろうし、あまり興味もないので断った。
8月16日 金曜日 天気 雨
今日もゆうた君と遊んだ。昨日からずっとカバンの中身が頭をちらつく。見せてとお願いしたけど昨日断ったんだから見せてあげないと言われた。あの中には何が入ってるんだろう。
8月17日 土曜日 天気 雨
中身がみたい中身がみたい中身がみたい中身がみたい中身がみたい。ゆうた君におねがいしたら見せてくれるかな
8月 日 曜日 天気
8月 日 曜日 天気
8月 日 曜日 天気
8月 日 曜日 天気
8月 日 曜日 天気
8月23日 きん曜日 天気☀
きょうわすいかおたべました。おいしかったです。
8月24日 ど曜日 天気☁
きょうはカレーをたべました。おいしかったです。
8月25日 日曜日 天気☀
今日はピーマンを食べました。まずかったです。
8月26日 月曜日 天気☀
今日は焼いた魚を食べました。おいしかったです。最近おじいちゃんに見られている気がします。明日帰るのでそれまでは
8月27日 火曜日 天気☂
今日は家に帰ります。見るもの全部新鮮でとても楽しかったです。とても楽しかったのでカバンを開けて見せてあげたくなりました。
8月28日 水曜日 天気☀
もう少ししたら学校が始まるらしいです。とても久しぶりにいくのでとても楽しみです。
28日、昨日の日付でこの日記は終わっている。何だよこれ……。阿部、阿部は……。8月半ば以降、あまりに異質に変化した内容に思わず言葉を失う。そのまま固まっていると、ひたひたという足音がこちらに近づいてくる。阿部だ。あいつがトイレから帰ってきたのだ。あいつがトイレで離籍してる間に、机の上にあった日記を何げなく読んでみたら、まさかこんな内容だとは……。まずい、隠すのが間に合わない。
ガチャ
「ただいま……。おー、お前それ読んだんだ」
「阿部…………。」
「夏休みの日記書き忘れてさ、それでごまかそうと思うんだけどどう思う?」
「アホか!!」
