ヨルマチプリンセス

※登場人物

・ツバサ

…ホスト。あまり売れてない。面倒くさがりで基本テキトー。

・椿(=ツバサ)

 …ツバサの女の子としての姿。

・レオ

 …ホスト。売り上げナンバーワン。王子様系と言われている。

・ミナト

 …ホスト。目立つタイプではないが堅実に売り上げていて優しい雰囲気が人気。ツバサの友達。

・サキ

 …レオを指名している地雷系女子。エース(使用額がトップ)。

・案内人

 …ストーリーテラー。

 

※場面転換の多いシーンでは、回想の部分を記号でくくっています。

 

①          プロローグ

案内人「これは、とあるお姫さまのお話」

 

ツバサ「あー!もう嫌だ!めんどい‼」

ミナト「急にどうしたの、ツバサ」

ツバサ「急じゃない。ずっと我慢してきたけどもう限界。ホストってもっと稼げる仕事だと思ってた。なのに雑用ばっかだし全然売り上げ上がんねーし!ミナトだってそう思うだろ⁉」

ミナト「うーん、確かに大変だよね。そういえばツバサってなんでこの仕事選んだの?」

ツバサ「スカウト。『絶対売れる』って言われた。ニコニコ笑ってるだけでめちゃめちゃ稼げますよーって」

ミナト「うわぁ、さすがに語弊があるね」

ツバサ「あーあ。なんでこうなるんだろ。女に生まれてりゃもっとラクな人生送れてたかな」

ミナト「それは関係ないんじゃ…」

ツバサ「いーや絶対そう。…今からでもなれないかな。異世界転生的な⁉目が覚めたら女になってたとか⁉」

ミナト「えっと…ツバサ、酔ってる?」

ツバサ「よーし!早く帰って寝よーっと。じゃーなミナト!」

ミナト「あっ、うん!また明日」

 

②          翌朝

※ツバサは心情描写のナレーション

 

ツバサ「次の日、目が覚めたら…」

椿  「お、女になってるーー⁉…い、いやいやいやいや!言った!言ったけども!はああああー⁉うっ、大声出したら頭痛い…。よし一旦落ち着こう。そうだ、まだ寝ぼけてんだきっと。顔でも洗ってこよ…」

椿  「…ってええーーーっ⁉」

 

ツバサ「どうやら夢ではなかったらしい。鏡に映る俺は俺であって俺じゃない。姿は女でもしっかり二日酔いしてるし部屋も俺の部屋だし。かれこれ3時間、色々頑張ってみたが何も分からなかった」

 

椿  「あー、もう!分からん!寝て起きたら戻ってる!そういうことで!ね‼…ってやっば、もうこんな時間⁉もうすぐ開店時間じゃん!このまま行くわけにいかないし…あっそうだ」

ツバサ「ここで俺は思いついてしまった。この体なら自分の店に客として行けることに…!」

椿  「よっしゃ冷やかしに行ってやろ~!そういえば余興で使ったスカートあったじゃん!えーとどーこだっけ~」

 

ツバサ「…よく考えたら女になって行くところが自分の店って夢がなさすぎるんだけど、きっと俺は疲れてたんだ。毎日毎日客の機嫌伺って、怒られて、指名入らなくて。もしかしたら、俺もそっち側に行きたいって、密かに思ってたのかもしれない。俺以外のホストと喋る客は、みんな楽しそうだったから…」

 

 

③          初回の感想

帰り道、椿の回想。

 

椿  「って…あ~~~っ何だよあ・れ・は‼」

 

レオ 「お待たせしました、姫」

椿  「ひ、姫⁉」

レオ 「そう。ここに来る子はみんなお姫様だよ。オレの名前はレオ。君の名前は?」

椿  「ツバ、あっ…えと、ツ、ツバ……ツバキ!椿です、あはは…」

レオ 「椿ちゃんか。かわいい名前」

椿  「あ、そう?よかった」

レオ 「椿ちゃん、もしかして緊張してる?」

椿  「えっ、あー、まあちょっと、してるかも?」

レオ 「フフッ、なんか面白いね、椿ちゃん」

椿  「うっ…違う違う、流されるな、俺!」

レオ 「ん?どうかした?」

椿  「あぁ、いえ。お世辞がお上手だと思っただけですわ、オホホ…」

レオ 「お世辞、じゃないんだけどな」

椿  「えっ?」

レオ 「あ、ごめん椿ちゃん、俺もう行かなきゃ」

 

椿  「なんだよあの微妙?な顔。レオって確か『王子様系ナンバーワンホスト』だったよな。あんな顔していいのか?それにさぁ…」

 

レオ 「連絡先、交換しよ?」

椿  「あ、はあ…」

レオ 「どう?見せて」

椿  「ち、近っ‼」

レオ 「あ…ごめん、イヤだった?」

椿  「イヤってわけじゃ…びっくりしただけで」

レオ 「じゃあよかった。椿ちゃん、オレのこと嫌いなのかなって思ってたから」

椿  「えっ⁉ま、まさかぁ…何で?」

レオ 「椿ちゃん、オレと話す時、なかなか目合わせてくれないよね。すぐ目逸らしちゃうし」

椿  「え、そう?」

レオ 「ほらそれ」

椿  「あっ」

レオ 「でも、椿ちゃんと話してると楽しいからさ。また会えるといいな。ね、椿ちゃん」

 

(レオがツバサに近寄り顔を覗き込む)

 

椿  「えっ」

レオ 「またね」

椿  「……は、はい」

レオ 「気をつけて帰ってね」

 

椿  「はあぁ~。何あの距離感…。いくらなんでも近いって!なんか分からんけどめっちゃ疲れた…。帰って寝よ。あそうだ、忘れるとこだった。明日には元に戻してねー‼…と。これでよし」

 

 

④          翌朝、そして2回目

椿  「ふぁ~よく寝……ん⁉ちょっ、待って。戻って、ない⁉なんでなんで、はっ?もしかしてずっとこのまま?困るって!えーっと、おとといは、いつも通りだったはず!起きてカップ麺食って、仕事行って、酒を…。あっ、そういえば珍しくレオの卓に呼ばれて…もしかしてそれか⁉となれば…」

 

***

レオ 「あれ、椿ちゃん?また来てくれたんだね!」

椿  「これはこの体の秘密を暴くため、そうこれは必要経費!」

レオ 「ん?何か言った?」

椿  「い、いえいえなんでもございませんわ。ウフフ…」

レオ 「そうなんだ。まさかこんなすぐ会えるなんて思ってなかったな、嬉しい」

椿  「あー、うん。そ、それより!最近新しいさk…お酒飲みませんでしたか?」

レオ 「新しい?ここではずっと同じの出してるよ。どうして?」

椿  「えっ?そ、れは…あ!ここのお酒って他の店のよりおいしくって!ちょっと気になっただけですそんな深い意味はなく‼」

レオ 「そっか。美味しい理由、か。ひょっとしてさ、その理由『俺と飲んでるから』だったりしない?」

椿  「いや絶対違う‼」

レオ 「冗談だよ」

椿  「あっ、ごめんなさい。つい」

レオ 「いいよ」

椿  「あのー……」

レオ 「あ、ごめん椿ちゃん。呼ばれたから行ってくるね」

(レオ退場)

 

椿  「そんなに落ち込まなくても…」

 

 

ミナト「こんばんはお姫さま」

椿  「あ!ミナトじゃん、お疲れ~」

ミナト「えっ、僕のこと知ってるの?」

椿  「へ?あっ!し、知り合いに似てて!」

ミナト「へえ~。それってどんな?」

 

(二人で仲良く喋っている)

 

レオ 「わっ」

椿  「うわぁっ!お、驚かすなよ」

レオ 「お待たせ椿ちゃん。随分楽しそうだね」

椿  「あれ、なんか機嫌悪い?もしかしてさっきのまだ根に持って…」

レオ 「それは、別に」

ミナト「レオ、僕と椿ちゃんが喋ってるの見て妬いてるんでしょ~」

椿  「えっ⁉」

レオ 「変な事言うなよ」

ミナト「ごめんね、レオってこーいうとこ素直じゃなくて。まあそこがかわいいんだけど」

レオ 「ミナト!」

ミナト「あはは。じゃあ僕はこれで。またね」

 

***

ミナト「椿ちゃん、ね。なんか似てるな…」

 

(回想・ある日の帰り道)

ツバサ「なーなーミナトってさ、彼女いるの?」

ミナト「えっ、…いないけど、なんで?」

ツバサ「まぁ、なんとなく。そういう話聞いたことないなって。お客さん好きになったりしねーの?」

ミナト「……僕はないかな」

ツバサ「へー、そういうもん?」

ミナト「僕はちょっと…普通じゃないから」

ツバサ「どういうこと?」

ミナト「よくわからないんだ。お客さんとか以前にそういうのが」

ツバサ「なーんだ、そんなこと?俺だって分かんねーよ。誰かを好きになったこととかねーし。あっそれよりさ!ラーメン食いにいかね?最近できたばっかの店があってさー」

 

ミナト「……引かないんだ」

 

ツバサ「ん、何か言った?てか、行くの?行かないの?」

ミナト「行こう!」

ツバサ「よっしゃ!」

 

ミナト「ツバサ…」

 

 

男  「シャンパン入りましたーーっ‼さあ姫から一言、どうぞ‼」

サキ 「レオの姫はサキだけで十分でーす」

男  「サキちゃん強気だねー!イエーイ‼」

一同 「イエーイ!」

 

***

レオ 「ただいま~」

椿  「おつかれ。すごかったな、あのコール」

レオ 「うん。ありがたいことだよ」

二人 「…。」

椿  「そっ、そういえば!レオはなんでこの仕事してるんだ?…ですか?」

レオ 「学費のためだよ。うち親が早くに離婚してさ。妹もいるし、稼げるだけ稼ぎたいんだよね。大学通いながらでも働けるし」

椿  「大学生なんだ、へえー」

レオ 「やること多くて大変だけど、充実してる。椿ちゃんにも会えたし」

椿  「~~っ、だから近いって!」

レオ 「嫌?」

椿  「じゃないけど!なんか困るんだって!」

レオ 「困ってる椿ちゃんかわいい」

椿  「やめろ!」

(ちょっとじゃれていて、レオが腕時計に目をやる)

 

レオ 「ん、そろそろ時間だ。椿ちゃんありがと。楽しかったよ。またね」

椿  「うん」

 

 

⑤          帰り道にはご注意を

椿  「はぁ~。意外と楽しかったな。レオってナンバーワンのわりに表情コロコロ変わるんだな、知らなかった。すぐすねるし落ち込むし。確かに…かわいいかも?って、男だっての。ははは…」

 

(椿の後ろ、サキとレオが歩いてくる)

サキ 「え~ダメなの~?」

 

(椿は声に気付いて距離を取り、二人を見ている)

 

レオ 「今やってる薬の研究が佳境でさ。他の人に知られたくない実験だから早朝の誰かが来る前にやりたいんだ。ごめんね」

サキ 「そっか~、わかった」

 

(2人が別れ、レオ退場。サキが隠れていた椿に気付く)

 

サキ 「ねえアンタ」

椿  「ヘっ⁉あっ、な、なんでしょう」

サキ 「言っとくけどレオのエースはサキだから。覚えといて。あとあんま調子乗ってると潰すよ?」

椿  「は、はぁ…」

サキ 「じゃ」

椿  「あ、あのさ!」

サキ 「何?」

椿  「レオのこと…好きなの?」

サキ 「は?ケンカ売ってる?」

椿  「じゃなくて‼俺っ、いや私そういうのよくわかんなくて!単純にどういう気持ちなのかなって、その…」

 

(サキ、複雑な顔で俯いている)

 

椿  「あ、あの…?」

サキ 「あんたは知らなくていいよ」

(サキ、去る)

 

椿  「そっか。レオってナンバーワン、だもんな。客は俺だけじゃない。そーいう仕事だもんな、うん…。でも、なんかモヤモヤする…」

 

***

 

サキ 「何アイツ。ウザ」

 

 

⑥          夢

椿  「あんた、アイツのことどう思ってんの?」

ツバサ「どうって…」

椿  「もう気付いてんでしょ?」

ツバサ「何にだよ。そりゃ、確かに話してて楽しいとは思うけどさ、そういうんじゃねーよ。だって男だぜ?俺も男なのに」

椿  「でも、私は女、でしょ?」

ツバサ「カンケーねーよ。お前は俺なんだから」

椿  「誤魔化したって意味ないよ。自分だけは騙せない」

ツバサ「だから、何をだよ‼」

 

 

椿  「夢か…」

椿  「誤魔化すって何だよ。アイツはホストで、俺は客。それ以外に何もねーだろ…」

 

 

⑦          相談

(椿がミナトに電話している)

 

ミナト「もしもし。椿ちゃん?」

椿  「あっ、ミナトさん。ちょっと相談があって。友達の話なんだけどさ!なんか、ある人のことが気になっちゃうらしくて。えーっと、これって…」

 

ミナト「……一緒にいると楽しいって?」

椿  「うん」

ミナト「その人が他の人といるのみたら、どう?」

椿  「うーん、なんかイヤ。…らしい」

ミナト「これからどうしたい?どうなりたいの?」

椿  「わかんない」

ミナト「じゃあ今の気持ち正直に話してみたら?」

椿  「まとまってないのに?」

ミナト「だからこそだよ。きっとうまくいくよ。大丈夫」

椿  「…うん。じゃあ、言ってみる!」

 

ツバサ&椿「ありがとうミナト!」

 

 

ミナト「今の、って…」

 

 

⑧          夜の街の王子様

椿、落ち着きなくスマホを見ている。

 

椿  「『今日、お店が終わった後に時間ありますか。大事な話があります。3丁目の公園で待っています』…っと」

 

椿  「はーっ。言っちゃった言っちゃった!ヤバ。え、変なこと言ってない?よな。うわーこういうの慣れてないんだよ俺…」

 

椿  「落ち着け落ち着け俺!いや私!レオの客なんてたくさんいるんだし、どーでもいい客にこんなん頼まれたって99%断られるだろうけど、でも、もし、もし来てくれたら…」

 

(不審な男が近付いてくる)

 

男  「お前さー、もしかして椿?」

椿  「え…」

男  「間違いなさそうだな」

椿  「な、何なんですか」

男  「じゃあちょっと来てもらおうか」

椿  「ちょっ!は、離して、離せ‼警察呼ぶぞ‼」

男  「うっせえな」

 

(男が椿を突き飛ばす)

 

男  「口で言っても分からないみたいだな」

椿  「誰か助けて!誰かっ……レオ…っ‼」

 

 

レオ 「椿ちゃん‼」

 

***

 

男  「…チッ(そのまま逃げる)」

 

 

椿  「レオ…?」

レオ 「椿ちゃん!大丈夫?」

椿  「今のって…」

レオ 「危うく連れていかれるとこだったよ。ほんと危なかった」

椿  「そ、そっか。ありがとう」

レオ 「どういたしまして。でも、こんな時間に一人でいるなんて、危ないからもうしないでね」

椿  「うん、ごめん」

レオ 「でも、無事で良かった」

 

(レオが椿に手を差し伸べ、立ち上がる)

 

椿  「あ、あのさ、レオ。伝えたいことがあって。聞いてくれる?」

レオ 「もちろん」

椿  「私、レオのこと最初は違う人間だと思ってたんだ、ナンバーワンだし。でも話してみたら全然そんなことなくて、なんか、一緒にいると楽しいっていうか、あー、だから、その…」

レオ 「ん?」

椿  「私、レオのこと…!」

レオ 「その先はオレに言わせて?好きだよ、椿ちゃん」

椿  「えっ?ほ、ほんとに?で、でも私、レオに隠してることが…」

レオ 「大丈夫、どんな椿ちゃんも受け止める。だから、安心して?」

椿  「うん。…今はまだ言えないけど…いつか、レオにふさわしい人になれたら、その時は言うから、待っててくれる…?」

レオ 「分かった。待つよ、いつまでだって」

椿  「ほんと?私、頑張る!」

 

***

サキ 「何で……なんでよ、レオ‼」

 

 

⑨          ハッピーエンドのその裏で

案内人「これは、もう一人の姫のお話」

 

サキ 「私は、ずっと一人だった」

サキ 「誰からも愛されず、誰からも見てもらえない、そんな人生。そんな私を初めて見つけてくれたのは、尊敬する先輩だった」

 

レオ 「教育係のレオ。よろしく」

 

レオ 「っはは、迷惑?オレを誰だと思ってるんだよ。この程度、ミスの内にも入んねーよ。ってかミスすら利用してこそホストだろ。堂々としとけ」

 

レオ 「お前にはお前の良さがあるさ。そのうち見つけていけばいい」

 

 

レオ 「そうだろ?マサキ」

 

 

サキ 「レオさんは憧れだった。あの店で誰よりも輝いてて、手の届かない存在だった。でもいつも気にかけてくれて相談にも乗ってくれた。この体のことも…気持ち悪がらず受け入れてくれた」

 

(二人の電話)

レオ 「本当にマサキなのか」

サキ 「うん。信じてもらえないかもしれないけど、目が覚めたらこんな体になってて、声も…。どうしよう、どうしたらいいかな⁉」

レオ 「落ち着け。大丈夫、信じるよ」

サキ 「ホ、ホント?」

レオ 「ああ。大学でちょっと調べてみようか」

サキ 「いいの?ありがとう!」

 

レオ 「今日はごめんな、今月売り上げ厳しくて…ほんと助かった」

サキ 「全然!いつもお世話になってるし。むしろあんな安いシャンパンでごめんね」

レオ 「ありがとうマサキ。にしても驚いたな、こんなかわいくなるなんて。どっからどう見ても女の子だよ」

サキ 「そう?ならよかった」

 

(サキ、ぬいぐるみを持って出る。後ろからレオ)

サキ  「遅い」

レオ  「はぁー。忙しんだよ、分かるだろ」

サキ  「……」

レオ  「サキ~?ごめん。機嫌直して」

サキ  「なんで既読つけないの。連絡くらいしてよ」

レオ  「気を付けるよ。でも…」

サキ  「聞きたくない」

レオ  「(ため息をついて)ちょっと煙草吸ってくる」

サキ  「まって、レオ!……行かないで」

レオ  「どした?どこにも行かないよ、オレは」

サキ  「……うん」

 

サキ 「私は、男としての自分は捨てた。女の子なら、レオの隣に立てる。一番近くにいられる。レオを、私が支えることだってできる。…分かってる。レオはホストで私は客で。でもいいんだ。私が彼の唯一であることには変わりないから。なのに…!」

 

⑩          本性

サキ 「レオ」

レオ 「どうしたのサキ。オレ最近忙しいって言ったよね」

サキ 「これ何」

レオ 「盗撮?困るんだけど」

サキ 「これは何って聞いてんの‼ねえこの女誰よ。こんな地味で金も持ってなさそーな女に乗り換えるわけ⁉信じらんない。この詐欺師‼」

(サキ、ぬいぐるみを投げつける)

 

レオ 「何度も言ってるけどオレはホストなんだからこのくらい普通。そっちだってそれ承知で付き合ったんじゃないの?詐欺師はどっちだよ」

サキ 「は⁉ふざけんな‼今までサキがどれだけレオのために尽くしてきたと思ってんのよ!」

レオ 「あのさぁ、それこっちのセリフなんだけど。椿襲わせたのサキだろ?これで何回目だよ」

サキ 「そ、それは…」

レオ 「お前さー、オレの仕事妨害したいわけ。ホストの才能ないのも納得だわ」

サキ 「……え?」

レオ 「せっかくオレが手取り足取り教えてやったのに。要領悪いの変わってねーのな。今も昔も」

サキ 「レオ…ずっと、そんな風に思ってたの?嘘…嘘だよね、ねえ、レオ‼」

レオ 「お前はいい実験体だったよ。研究には役に立った。そろそろお迎えが来る。じゃーな」

 

(男が入ってきて無理やりサキを連れて行く)

 

サキ 「えっ?やめて、離して!ねえ、研究って何?まさか、全部最初から⁉待って、助けて、レオ‼」

 

 

***

 

レオ 「ふぅ。ようやく片付いたな。手をかけすぎると暴走して面倒なことになる…。まあ椿を落とすついでに排除できたから良しとするか」

 

 

レオ 「お前には期待してるよ、ツバサ…?」

 

 

⑪          ミナトvsレオ

 

(ミナト登場)

 

ミナト「レオさん、お疲れ様です。…今日もツバサ来てないですね」

レオ 「お疲れ。まあ、もう来ないかもな。多いんだよ、フッといなくなるヤツ」

ミナト「そうですか。最近多いみたいですね、突然来なくなって音信不通になる人。リクさん、マサキさん、ツバサ。そして決まってそのあと新規のお客さんが来る」

レオ 「へー、そうなのか」

ミナト「大学では薬学を研究してるそうですね。よく一人で怪しい研究をしてるとか。何をしてるんですか?まさか…」

レオ 「フッ…アハハハハ!やっぱりお前は優秀だよ、ミナト。見る目があって頭も切れる。失くすには惜しいな」

ミナト「じゃあ…やっぱり…」

レオ 「でも、お前に何ができる?なぁ、ミナト。世の中知らなくていいこともあるんだよ。優秀なお前なら意味、分かるだろ?」

 

レオ 「これからも、よろしく」

 

***

ミナト「ごめん、ツバサ。でもいつか…!」

 

 

⑫          エピローグ

椿  「履歴書持った、スマホ、財布、あとえっと…うん、オッケ。よーし!自立した人間への第一歩!頑張るぞ、おー!」

 

***

案内人「そう、ここは夜の街。ここでは誰もがお姫さま。けれど忘れてはいけない。ここはすべてが作り物。彼らはどこへ向かうのか、それは分からない。闇と欲にまみれたこの街で大事なことはただ一つ。この世にあるのは夜だけじゃない。忘れないで、あなた自身の輝きを」

 

 

END

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