「大変……大変申し訳にくいのですが……」
目の前で主治医は眉間に皺を寄せ、僕を傷つけない言葉を床に探すように俯いている。 2人だけの診察室、静寂に包まれた異様な空間は時間を忘れるほど緊張を孕んでいた。 理由は簡単、今から僕の余命が宣告されるからだ。
ただ、もう覚悟は出来ていた。 時折、ズキリと胸が痛くなること、少し優しすぎる看護師からの扱い、先に親だけが呼ばれていること。 なにを取っても、悲劇的な結末を予感させないものは無かった。
だから、もう良いんだ。 覚悟は出来てる。
「分かってます、なんとなく自分でも分かってるんです。 だからっ……」
少し息が切れて、ゆっくりと深呼吸をした。 先生はもう床を見つめていない。 真っ直ぐ、僕を見てくれていて、太ももの上で握った拳が少し緩んだのを自覚した。
「だから、もう大丈夫です」
僕のその言葉を受け止めた先生はゆっくりと頷いて、先の言葉の続きを紡いだ。
「あなたの寿命は……4億年です」
「そう……ですか」
「って、よっ……4億年!!!!???」
4億年の男、爆誕。 これは、いずれ生きた人工衛星と呼ばれる男のはじまりの物語である。
