2024-11

第二十八回(火)

お誕生日おめでとう

ハッピバースデートゥーユ〜と叔母が歌いながら、キッチンの奥からケーキを持ってきた。叔母の手作りだというそれは、普段自分で買うような何分割かされてるものではなく、私が今まで食べてこなかった部分も含めた、ケーキの真実だった。 ケーキの上には2本...
第二十八回(火)

勇者が生まれた日

魔王城、最上階。勇者一行が魔王と相対して半刻、既に戦いは終焉を迎えようとしていた。『火炎の勇者』ライアン、『魔導国の叡傑機構』バイオレット、『爆殺聖女』ミラ、『不侵防域』マーカスの四人は、自らの攻撃を跳ね返され地に伏す魔王を見下ろす。 「炎...
第二十八回(火)

蝋涙

廊下から見えた延焼の様子は並大抵ではなかった。もう既に展示物は悉くお陀仏だろう。「ああ……」狼狽する青年の心情に反して火はひどく玲瓏だった。  ワックス・ネッタドールは若き蝋人形師である。父であるロウ・ネッタドールの跡を継いだばかりの駆け出...
第二十七回(落下)

世界で一番どうでもいい

やっとだ、やっとここまで来た。 重厚なジュラルミンの扉の前に立った男は、震える手で、ポケットの錆びたドッグタグを握りしめた。その震えは散っていった戦友たちへの弔いか、それともこの先で待ち受けるものへの畏れなのか。それは男にも分からなかった。...
第二十七回(落下)

落下夢

夢の話だ。 意識ができた時には自分は落ちていた。どこを落ちているかは分からなかった。空ではなかったと思うし、地中でもなかった気がする。多分、風呂屋の煙突のようなところだったと思う。うん、都合がいいので風呂屋の煙突を落ちていたことにする。着の...
第二十七回(落下)

落としたもの

新たな家具を手に入れたその帰り道、京子は前を歩いていた男が何かを落としたのを見た。京子は自分がどうしようもない人間であることを自覚していた。だがしかし、目の前で何かを落とした人がいれば、それを拾ってあげることぐらいはする善人であろうという気...
第二十七回(落下)

数えきれない妄想の果てに

自分の趣味は飛び降りジサツだ。  いや、正確には、「頭のなかで」「飛び降りジサツを試みる」という表現が正しい。......そんなにシにたいのかって?まさかぁ。 これを読む貴方も、ちょっとでも考えたことくらいあるだろ?自身がシぬときのこと。 ...