2024-05

第十三回(裏切り)

英雄欺人

「おや、記者さん。まだ起きてたのかい」  ──ええ、この町は活気にあふれていますから、少し高揚しているようで。夜風でも浴びようかと。 「そうかい、あたしもさ。年寄りにゃ夜は長くてねぇ。ちょうど話し相手を探していたのさ」  ──さようで。それ...
第十三回(裏切り)

桐生は罪を犯した。

「あらゆる事象において、裏切りは発生する。  その裏切りは、事象の観察者の思い込みから生まれる。たった一部分の切り取られた事実を誤解し、真実とはかけ離れた推論を出す。  そして、その推論が間違っていると気がついた時、人々は裏切られたと言う。...
第十三回(裏切り)

監禁

「お~い、助けてくれ〜」  右上の隅、目が合っている監視カメラに話しかけてみる。 時計なんてないが、意識が覚醒して既に一時間は経過したように思われる。こうして拘束されている以上、犯人が居るはずだが、そいつは一向にこちらに接触してこなかった。...