文字起こし:激裏 Movie 27【GEKIDAS4 出版記念企画:酒を浴びるほど飲もう】の巻

「GEKIDAS4、発売しました!」

「「発売しました~」」

河川敷、流れる川と向こう岸の土手の緑をバックに半分ほど橋にかかっているような場所にて、カメラに向かって、画面中央にいる、黒縁の、マック堺のようなメガネをかけてハットをかぶり、雑に伸ばされた髭と腰までの長髪が特徴的な男性が、ピンクの表紙の「GEKIDASvol.4」を差し出してそう言うと、彼の両隣の女性が付き従うように声を合わせた。全員全身真っ黒の、お揃いコーデだった。

「発売一週間で、アマゾンアングラ部門六位です! ありがとうございます!」

若干出っ歯気味の彼がそう言って頭を下げる。再び、両隣の女性らが拍手しながら「イェイ!」「すごーい!」と口々に言った。中央の男は満を持したように起き上がり、手に持った本をポンと叩いていった。

「そこで、発売を祝して、酒を浴びるほど飲みたいと思います!」

彼から見て左前方にカンペでもあるのか、それとも全く彼の癖なのかは分からないが、彼は前屈気味になりながらそう言った。左側の女性が、不安そうに彼を一瞬見つめていた。

ジャジャンジャジャンジャジャジャン。激しいドラムとギターをかき鳴らすサウンド。パンクロック調の音楽が流れ、映像は行き交う道路や車が、黒と白い枠線でのみ表されたものに切り替わった。カメラの乗った車は信号で止まり、左折し、どんどん進む。突如、サブリミナル効果のように一瞬だけ、暗闇の、廃墟のような場所でキセルを持つ赤の着物を着た誰かの手が映された。手は真っ白で、およそ普通の人の通常のそれとは考えられない。しかしそれも一瞬のこと、映像は再び白黒に戻り道路を進む車の目線になる。また数秒経つと例のキセルの映像が挟まり、それは先ほどより長く、半秒ほど流れた。キセルの映像が挟まる頻度が上がっていき、その映像の長さも増していく。キセルは映像が進むごとにどんどん口元のほうに進んでいて、もう何回か映像が挟まれば、キセルを持つ謎の和装の人物の顔が映ってしまいそうだった。そしてついに、謎の人物の顔が映る。顔はその手と同じく真っ白に塗られていて、口ひげ、顎髭も同様に染められている。髪は江戸の町娘のように頭の上で結われていた。彼だか彼女だかわからないその人物は手に持ったライターでキセルの先端に火をつけた。そして盛大に数回せき込み、こう言った。男の声だった。

「激裏ムービー」

その声と共に「激裏MOVIE」の赤文字が画面中央にたたきつけられる。映像の中では、彼の「ねぇこれ火事になる」という呟くような小さな声が廃墟のような場所に放り投げられていた。

再びの場面転換、場所は開始した場所と同じ、河川敷だった。先ほどから変わった点と言えば、中央の特徴的だった男性が、メガネと帽子を外して、脚立を横倒しにしたその上に座っていて、首に簡易的な水槽のようなものを取り付けられているということだけだった。

「飲みますか!」

彼はいたって明るい声でそう言うとともに、これから来るであろう困難に備えて腕まくりをした。

「飲みますか!」「お願いしましょー」

女性陣もとてもやる気のようだった。画面下部に、「酒を浴びるほど飲んでみようの巻」という白色のテロップがまるでタイポで打たれたかのように出現する。両脇の女性陣が地面のビールを手に取り、BGMもだんだんとアガっていく。力を込めて二人がビールの栓を開けた。カシュッという、心地いい音が晴れの河川敷に響く。

「「かんぱ~い」」

2人はそう言って缶を中央に近づけ、左の女性はそのまま一口飲んだ。そして二人は「おめでと~」と言って、彼の首の水槽にビールを注ぎ始める。ビールは彼の顔をぐるっと取り囲む円柱形のプラスチックの中に溜まっていく。底は彼の首にエリザベスカラーのように付けられていて、無理やりにでも飲まなければ、窒息をしてしまうような仕組みになっていた。彼は震えながら底になっている白いカラーのような板を両手で支えながら、慌ててビールを飲み始めた。両足をばたつかせ、口から泡を何度も吹き上げる彼のもとに、再度ビールを手にした女性陣が現れる。そしてせき込む彼を無視し、容赦なくそれぞれ一本ずつの二本のビールを再び彼の水槽に注いだ。半分ほど注いだだろうか、堪えきれなくなったのか、彼が首を思いきり前に倒し、水槽内のビールを全部地面にぶちまけた。そして起き上がる勢いそのまま円柱になっている透明のプラスチックを引きちぎった。しかし起き上がる勢いが激しすぎたのか、そのまま倒してあった脚立にバランスを崩され、後方に転倒してしまった。

「大丈夫~」

終始へらへらとした様子の女性陣が、笑いながらそう彼に声をかけた。彼は脚立の足と足の間に倒れこんだまま動かない。うずくまって返事もしない彼に、

「死んじゃ~う」

と笑いながら言い続ける。彼は体のエネルギーを振り絞って上体を起こして死にそうな声で一言言った。

「死ぬかよ……」

彼のその声に安心したのか、再び河川敷は女特有の甲高い笑い声に満ちた。

場面が転換した。最初と同じ立ち位置、しかし最初と違って中央の彼は帽子もメガネもつけていない代わりに、狂犬病の犬のように白いプラボードを首の周りに死刑囚のように付けたままであり、その顔はほんのり赤く、むくんでいるように見えた。彼がせき込むのも無視して、左の女性がカメラに向かって喋り出した。

「ということで、GEKIDAS4!発売記念と言うことで」

そしてそのまま、彼女の言葉を右の女性が繋げていく。

「JIMIさんに、お酒を浴びるほど飲んでもらいました~」

言い終わって女性二人が元気よく拍手をし、中央のJIMIと呼ばれた彼も合わせるように弱弱しく拍手した。

「おめでと~」「文字通り~」

と笑顔を見せる女性らに対し、JIMIは

「死ぬかと思った……」

と弱弱しく言うのみだった。彼は首のプラスチックを取ろうと手を伸ばすが、外れるそぶりが見えず、諦めてしまった。

「また、さよなら…」

彼がカメラに手を振り、女性陣も「「さよなら~」」と手を振って見せた。

製作陣のリストが、焦げ茶色に加工された先ほどの画像の上を、滑るように進んでいく。そして数人の名前が画面を通りすぎて、画面は暗転、白い文字で

「激裏情報 http:www.gekiura.com」

とだけ書かれた画面が表示されて、動画は終了したかに思えた。しかし、動画は続いていた。

(ここから先は自らの眼で確かめてみてくれ!)

 

出典

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