ウミガメのスープ2 革靴編 Part2

男は特に困窮していたわけではない。行きつけの店でモーニングを頼むのは常であったし、アンケートを採れば65%ほどの人間が認めるであろう布団で寝ている。しかし、男は革靴が食べたくなってしまった。これは酔った際に出た気の迷いではなく、数週もの間、男を苦しめる逆らいがたい本心そのものであった。そうして調味料や道具を用意すると、男はフルコースなるものを作ることにしたのだ。とはいえ、男はフルコースが何たるかを知らない。知っていることは食前酒と肉料理、おまけにデザート程度である。とりあえず食前酒を作ることにした男は、前日に飲んでいたワインの残りと魔法で塵にした革靴を混ぜて飲んだ。案の定美味しくはないのだが、胸の内には確かな、それでいて締め付けるような満足感があった。ヌタウナギの粘液とでも言えば良いだろうか?

 

 

答え 男は革靴を食べたかったから

 

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